病気の症状により、幻聴や妄想などの病的体験で辛い思いをされている利用者様が多くいらっしゃいます。訪問看護を通じて、病的体験から離れる取り組みを行っている事例をご紹介します。

＜幻聴や妄想が活発な統合失調症の60代女性＞

週2回ヘルパーサービスを利用しながら単身生活をされています。
日常的に幻聴や妄想が活発で、訪問中も妄想発言が多く、会話をすることで更に思考が妄想に傾きがちでした。これまで会話が中心だった訪問看護の時間に、妄想から離れる取り組みが必要だと考え、作業活動の導入も検討しましたが利用者様が好まなかったため、動画鑑賞を取り入れることにしました。

活動には、物づくりなど自分から働きかける“能動的活動”、反対に音楽や動画を鑑賞するなど他からの作用を受ける“受動的活動”という考え方があり、今回の場合は“受動的活動”である動画鑑賞を取り入れて、自然に現実的な思考へと導く試みを行いました。好きな歌手の音楽視聴や小動物の動画を鑑賞する中で、自ずと幻聴や妄想から離れると同時に、笑顔が増えよい気分転換となっていきました。また、訪問員と一緒に動画を観て話題を共有することで、会話が広がり共感することで関係性が深まるという効果も得られました。

今回は動画鑑賞を取り入れましたが、利用者様の好みや挑戦してみたいことなどをお伺いしながら、各種作業活動を選択しております。
訪問看護を通じて、少しでも病的体験から離れ、気持ちを楽にしたり充実した時間が持てるよう、関わらせていただきたいと考えています。